FXのダウ理論とは?使えるインジケーターなど手法についてわかりやすく解説

FX ダウ理論

FXのトレードを行っていると「ダウ理論」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
ダウ理論とは、FXにおける有名な相場分析の手法の一つです。

  • ダウ理論が何かわからない
  • 何となく知っているけど詳しい使い方はわからない

このような人に向けて、ダウ理論の基本についてわかりやすく解説していきます。
ダウ理論を使った手法やエントリータイミング、使えるインジケーターなども見ていきましょう。

FXのダウ理論とは?

ダウ理論とは、相場の値動きの特徴を6つの要素で明文化した相場分析理論です。20世紀前半にアメリカの証券アナリスト兼ジャーナリストであったチャールズ・H・ダウ氏によって生み出されました。
元は株式市場の分析のために考案された理論ですが、FXのチャート分析の基礎でもあります。
そのため、多くのテクニカル分析はこのダウ理論が基になっており、世界中の多くのFXトレーダーに活用されています。

ダウ理論の6つの基本法則

ダウ理論の6つの法則

ダウ理論は、以下の6つの法則から構成されています。

  1. マーケットはすべての情報を織り込む
  2. トレンドは3種類
  3. トレンドは3つのフェーズがある
  4. 株価指数は互いに確認しあわなければならない
  5. トレンドは出来高によって支えられていなければならない
  6. トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する

それぞれの内容を一つずつ解説していきます。

マーケットはすべての情報を織り込む

市場で取引されている金融商品には全ての情報が織り込まれているという法則です。FXに置き換えると、為替相場のことを指します。

全ての情報とは、経済指標内容の予測などのファンダメンタルズ要因や、戦争・自然災害・大手企業の倒産などの予測不能な事象といった入手可能な情報のことです。それらが素早く為替レートに反映されていることを示しています。

また、未だ起こっていない将来の予測もリスクという形で織り込まれます。
例えば、米国の経済指標が強いことで、追加利上げの可能性が予測されます。こちらはまだ追加利上げされるかは分からないにもかかわらず、米国債の利回りの上昇や米ドルの上昇に繋がることで、リスクとして織り込まれていると言えます。

つまり、様々な事象が織り込まれたチャート分析をすることで、テクニカル分析がより有効に、且つ正確になるという考え方です。

トレンドは3種類

トレンドは、継続する期間に応じて、長期(プライマリートレンド)、中期(セカンダリーとランド)、短期(マイナートレンド)の3種類に分類されるという法則です。

  • 1年から数年以上継続する「長期トレンド」
  • 3週間から3ヶ月間継続する「中期トレンド」
  • 数時間から3週間未満の「短期トレンド」

長期トレンドの「上昇トレンドにおける押し目」や「下降トレンドにおける戻し」が中期トレンドで、さらに日々の細かい動きが短期トレンド、という構成と言えます。

こちらにおいては、主要なトレンド(長期トレンド)とそれに対する調整(中期・短期)が存在することを理解すれば大丈夫です。

トレンドは3つのフェーズがある

トレンドには「先行期」「追随期」「利食期」の3フェーズがあるとする法則です。

第一段階「先行期」

一部の先行投資家・機関投資家がポジションを構築し始め、価格に緩やかな動きが出る段階

第二段階「追随期」

先行期のトレンドの動きに市場全体が追随して急激な価格変動が起きる段階

第三段階「利食期」

一般的にも知れ渡り過熱し始め、一方で先行投資家が利益確定を始める段階

この3フェーズを理解していると、上昇トレンドの利食期で、先行投資家が売りさばいているものを買うことになる「高値掴み」を防ぐことが可能になります。(下降トレンドの場合は「安値掴み(底値売り)」)

株価指数は互いに確認しあわなければならない

トレンドの信ぴょう性を見極めるには、相関性のある複数の銘柄を確認する必要があるという法則です。

もう少し具体的に説明すると、ダウ平均株価のような指数が上昇トレンドを示している場合、その業種別指数であるダウ・ジョーンズ輸送平均株価も上昇トレンドになっていることを確認して初めて新たな上昇トレンドが始まったと捉えるべき、という考え方です。

現代の代表的な例でいうと、アメリカの代表的な株価指数S&P500が上昇トレンドでも、ナスダックが下降トレンドであれば、米国全体の上昇トレンドではないと言えます。

FXに置き換えると、相関関係のある通貨ペアや指標を確認することが重要ということになります。

トレンドは出来高によって支えられていなければならない

価格が上昇しているときは、それに見合った取引量の増加が発生しているべきという法則です。

出来高とは、取引が成立した株式数のことを言います。FXにおいても同様で、成立した取引量を指します。

上昇トレンドなら、価格が上昇しているときに出来高も増加し、価格が下落しているときに出来高も減少しなければならないというものです。
反対に、下降トレンドの場合は、価格が下落しているときに出来高も増加し、価格が上昇しているときに出来高も減少する、となります。

トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する

発生したトレンドは明確なトレンド転換サインが出るまで継続するということです。明確なシグナルが出ればトレンドは終了するとも言えます。
ダウ理論の中で最も重要な法則といっても過言ではありません。
FXでは、順張り(トレンドフォロー)が戦略の王道となっていますが、その根拠がこの法則です。

ダウ理論において、上昇トレンドとは高値と安値を切り上げている状態、下降トレンドは高値と安値を切り下げている状態と定義しています。

つまり、この状態が続けばトレンドが発生して継続していると見なせます。
反対に、この定義が崩れたとき、つまり上昇トレンドで高値を切り上げずに安値を更新した場合や、下降トレンドで安値を切り下げずに高値を更新した場合は、トレンドの転換サインと見なされます。

ダウ理論を使った相場分析の手法

ダウ理論の6つ目の法則「トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する」という法則を押さえておくと、相場分析に活用できます。
また相場分析ができれば、トレンド相場でのエントリーポイントを見極めやすくなります。

まずは、相場の流れを知ることが必要です。
相場には大きく分けて、トレンド相場とレンジ相場があります。レンジ相場とは、価格が明確な方向性を示さず、一定の変動幅の中で上がったり下がったりを何度も繰り返している状態です。
ダウ理論を理解すれば、トレンド相場なのか、そうでないレンジ相場なのかが判断できるようになります。

次に、トレンド転換のタイミングを見極めます。
明確なシグナルとして、上昇トレンドで2つの見方を解説します。

  • 押し安値・戻り高値ブレイク
  • 高値切り下げ・安値切り下げ

大きな違いはありませんが、トレンドの終了とトレンドの転換をどこで見るかによって異なります。
どちらの見方も知っておくことで、柔軟な相場分析ができると言えます。

押し安値・戻り高値ブレイク

ダウ理論を使ったFX手法 トレンドの見極め方

押し安値をブレイクした時点で上昇トレンドが終了し、その後の安値もブレイクした時点で下降トレンドへ転換したとする見方です。

押し安値とは、上昇トレンドにおいて直近の高値を作った起点の安値のことを指します。
ダウ理論において、上昇トレンドの定義は「高値と安値を切り上げている状態」です。押し安値をブレイクした時点で安値の切り上げに失敗しているので、トレンドの終了と言えます。

次に、下降トレンドの定義は「高値と安値を切り下げている状態」となります。押し安値を切り下げた後、高値も安値も切り下げた時点で下降トレンドの開始、つまりトレンドの転換と言えます。

高値切り下げ・安値切り下げ

ダウ理論を使ったFX手法 トレンドの見極め方 2

高値と安値の切り下げのみに注目する見方です。高値も安値も切り下げた時点で上昇トレンドが終了する、と同時に、下降トレンドが開始したトレンドの転換ポイントと判断します。

こちらは、押し安値を割っているかどうかにかかわらず、高値と安値を切り下げ始めたポイントのみで判断をします。

この相場の見方を知らないと、「まだ押し安値をブレイクしていないから上昇トレンドは終わっていない」という判断に至ってしまい、下降トレンドへの転換を見逃す可能性もあるのです。

FXでダウ理論を活用したエントリー・利益確定のタイミング

FXにおいてダウ理論を用いて相場分析ができれば、エントリーと利益確定のタイミングを見極められます。

売り(ショート)買い (ロング)
押し安値を下に割ったらエントリー
戻り高値を上に抜けたら利益確定
戻り高値を上に抜けたらエントリー
押し安値を下に割ったら利益確定

初心者の方は特に順張りで用いることをおすすめします。順張りとは、相場の流れに従ってポジションを持つことです。
エントリー後は、出来るだけ利食期で決済し、安値を切り下げたタイミングで損切りをしておきましょう。この手法を上手に活用すると、リスクを抑えつつ、着実に利益につながる可能性があります。

【注意】ダウ理論を使ったトレードの欠点

ダウ理論の欠点を、トレードを行う際の注意点として4つ紹介します。

  • 売買シグナルの発生が遅い
  • 切り上げ・切り下げの判断が難しい
  • ダマシが発生することがある
  • レンジ相場の分析には向かない

売買サインの発生が遅い

ダウ理論の欠点として「売買サインの発生が遅い」ことが挙げられます。高値や安値の切り上げ/切り下げが起こったタイミングで、ようやくトレンドの発生を判断するためです。
エントリー後すぐに価格が逆行してしまいあまり利益を得られないため、エントリータイミングとして遅いと言えます。

このダウ理論の欠点をカバーするためにも、ファンダメンタルズ分析やインジケーターなどその他のテクニカル分析を行うことをおすすめします。

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切り上げ・切り下げの判断が難しい

切り上げ・切り下げについて解説してきましたが、実際のチャートでは非常に判断が難しいことが多いです。

ダウ理論による上昇トレンドの判断

こちらは、安値と高値の切り上げポイントの判断の一つです。ダウ理論で考えれば、安値と高値がそれぞれ切り上がっているので、上昇トレンドと判断ができます。

しかし、高値と安値を変えるとまた違った見方となるのです。

ダウ理論よるトレンドの判断は難しい

こちらは先ほどのチャートを、違う高値と安値で見たものです。この場合は、既に上昇トレンドは終了していると判断できてしまいます。

このように、どんな規模でチャートを見るか、どこで切り上げ・切り下げを判断するかには正解がなく、ダウ理論を用いるのが非常に難しいのが欠点と言えます。

この見極めはトレード経験を積み、テクニカル分析の上達と共に身についていくものですが、慣れない方や初心者の方には「ZigZag」を使った手法がおすすめです。
こちらについては、「ダウ理論を用いた手法に使えるインジケーター(ZigZag)」で詳しく説明します。

ダマシが発生することがある

ダウ理論は非常に有名且つ、多くのトレーダーに活用されていますが、ダマシが発生することもあり、絶対有効とは決して言えません

ダマシ(騙し)とは、テクニカル指標のシグナルと逆方向に相場が動く現象のことです。
ダウ理論でいうと、上昇トレンド中に高値・安値が切り下がったにもかかわらず上昇が続いたり、反対に切り上げているのに下落が始まる、などです。

特に時間足が短いとダマシに遭うリスクが高まるため、日足以上の時間足も見るようにしてみてください。

しかし、ダマシはどのような分析にも起こりえることで、完全に避けることは難しいです。
そのためにも、ダウ理論は絶対的ではないということを念頭に、損切りの設定をしっかり行うなど、リスク管理を心がけましょう。
併せてファンダメンタルズ分析も活用するとよりリスクを防ぐことが可能になります。

レンジ相場の分析には向かない

ダウ理論は、レンジ相場での分析には不向きな手法です。

そもそも、ダウ理論は、トレンドの発生や転換を見極めるための理論で、トレンドが発生していないレンジ相場を対象としていません
また、FXの取引相場の大半はレンジ相場であるとされているため、実際の分析ではダウ理論を用いた手法が使える場面は少なくなることが予想できます。

そのため、トレンドがないレンジ相場での分析には、RSIなどのオシレーター系のテクニカル指標を用いた分析がおすすめです。

ダウ理論を用いたFX手法に使えるインジケーター(ZigZag)

FXでダウ理論を用いてチャート分析する際に使うインジケーターは、ZigZag(ジグザグ)がおすすめです。

ZigZagとは、ローソク足の高値と安値をラインで繋いだテクニカル指標で、自動でダウ理論の切り上げ・切り下げを表示してくれます。
そしてなにより、ZigZagは世界中の機関投資家やプロトレーダーも注目している指標なので、優位性があり、迷いがちな切り上げ・切り下げの判断に一貫性を持たせて相場を見ることが可能です。

先ほどの注意点で説明した、切り上げ・切り下げの判断が難しいようなチャートでも、簡単に上昇トレンド継続と判断できます。

このようにZigZagを使えば、機関・プロトレーダーと同じ規模でダウ理論分析ができます。
また、トレンド相場かレンジ相場かの判断も容易となります。

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まとめ

ダウ理論は、19世紀の終わりに米国のアナリスト・ジャーアナリストのダウ氏により提唱された相場理論のことです。相場に発生するトレンドの特徴を6つの法則で説いています。
当時は、株式市場の株価を分析するために考案されたものですが、現代ではFXを含め世界中のトレードに利用されています。

ダウ理論は、テクニカル分析の原点とも言われ、様々な手法の元になっている、非常に重要な理論です。
その中でもチャートのテクニカル分析に直結するものとして、6つ目の法則「トレンドは転換の明確なシグナルが出るまで継続する」は必ず押さえておきましょう。

FXでは、ダウ理論以外にも、エリオット波動やグランビルの法則など、広く用いられる相場理論が存在します。そちらも併せて確認してみてください。

参考記事
エリオット波動手法とは?ルールやパターンを分かりやすく紹介!

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